「うわぁ!雪よ、雪!」
「私、初めてです!」
「俺も!」

ゴルモア大森林を抜けて目に飛び込んできた真っ白な風景に、
私とパンネロ、そしてヴァンは飛び上がって喜んだ。

「そうか、君たちは雪は初めてなのだな」

バッシュさんが目を細めてそう言った。

「ええ、そうなんです!こんなに白くて綺麗だなんて思わなかった!」

興奮気味にそう話せば、バッシュさんは「そうか」と微笑んだ。



すると、雲に覆われていた空から一筋の光が差した。
降り積もった雪は、その光に反射してきらきらとまるで宝石のように輝いた。

「うわぁ、綺麗……」

その光景に見とれていると、バッシュさんが「ほう」と呟く。

「珍しいな。パラミナ大峡谷はめったに太陽など現れないのに」
「そうなんですか?」
「ああ。きっと神様から君たちへの贈り物なのかもしれないな」


それならば、私にバッシュさんを引き合わせてくれたのも
きっと神様からの贈り物なのかもしれない―――。


「ん?どうした?」
「いえ、なんでもありません」

ふふ、と笑った私に、バッシュさんは不思議そうな顔をした。

「それより、バッシュさんも行きましょう?」

私は大きなバッシュさんの手をとって、
雪の中で大はしゃぎしているヴァンとパンネロの元へと駆け出した。