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こんな雨の日には



「雨はお好きですか?」

じっと窓の外を眺めるあなたにそう問いかければ、「考えたこともない」と予想通りの素っ気無い言葉が返ってきた。

でも、先ほどからただじっとそうやって雨に濡れた街を眺める様は、
やっぱり雨が好きなのではないかと思わずにはいられないのだけれど。


それに、なぜか雨とヴェイン様はとても似ているような気がする。
太陽のような華やかさはないけれど、全てを包み込み、ゆっくりと大地に染み込んでいく様も、
静かだけれど、光や音さえも消し去ってしまうかのような力強さも―――。


そんなことを考えていたら、窓から目を逸らしたヴェイン様と目が合った。

「何を考えている?」
「秘密です」

そう言えば、かすかに目が細められたような気がした。


雨は、あなたを感じられるような気がするから私は好きかもしれません。


そうあなたに告げるのは、このカップを飲み干してからにしよう。




title from 『確かに恋だった』より「雨降りに恋10題」