背中にキス



いつも不安になる。

こうしてあなたに触れていても、肌を重ねていても、
あなたの心が見えなくて、不安で押しつぶされそうになる。

耳を掠める熱い吐息や、しっとりと汗ばんでいく肌を感じても
本当にあなたがここにいるのかわからなくなってしまう。


ノア、あなたはどこを見ているの?

何を求めているの?


こぼれ落ちそうな涙を見られたくなくて、寝返りをうつ振りをしてあなたから顔をそらした。


少し冷えた肌に、温かいあなたの唇が落ちる。


どうか夢じゃないのなら。

私の想いが届いているのなら。


どうか、いつまでの消えないしるしをそこに残して―――



title from 『確かに恋だった』より「そしてまたキスをする」